テクベイリ®と治療について
テクベイリ®とは
テクベイリ®には、がん細胞(骨髄腫細胞)の表面にある「抗原」という物質と、T細胞の表面にある抗原に結合することで、がんの増殖を抑える働きがあります。
テクベイリ®は、「抗体薬」という種類のお腹または太ももに注射するお薬です。
これまで多発性骨髄腫の治療で使用されている抗体薬は、1つの抗原に結合する抗体薬でしたが、テクベイリ®は2つの抗原に結合するため「二重特異性抗体薬」といわれています。
テクベイリ®のはたらき
テクベイリ®が、骨髄腫細胞の表面に多く存在するBCMAという抗原と、免疫細胞であるT細胞の目印となるCD3という抗原の2つの抗原に結合します。
2つの抗原への結合によって、骨髄腫細胞の近くにT細胞が引き寄せられ、T細胞が活性化されます。活性化されたT細胞が、骨髄腫細胞を攻撃します。
テクベイリ®が結合する
T細胞やBCMAって何ですか?
- T細胞とは
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私たちの体には、がん細胞を排除しようとする力である「免疫」が備わっています。
T細胞は私たちの体の免疫システムで重要な役割を果たす白血球の一種です。免疫システムによってがん細胞などの異常な細胞を認識し、攻撃する能力を持っています。しかし、何らかの理由でT細胞が弱まったり、がん細胞がT細胞のはたらきにブレーキをかけてしまうと、がん細胞を攻撃できなくなることがあります。
そのため、がんに対する治療では、T細胞の攻撃する力を強くする治療や、がん細胞がT細胞にブレーキをかけるのを防ぐ治療が開発されています。 - BCMAとは
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BCMAは多発性骨髄腫の細胞の表面に多くみられる抗原です。
正常な細胞にはBCMAは少なく、多発性骨髄腫の細胞で多くみられるため、治療するときの目印になっています。